主な学び
作曲レッスン
4年間を通じ、一対一の個人レッスンです。作品を見せ、アドバイスを受ける、修正したものや書き進めたものを見せ、アドバイスを受ける、、その繰り返しが4年間。1年次の二重奏にはじまり編成を拡大し、ほぼ全員が卒業作品としてフルオーケストラ作品を書き上げます。詳しくはこのページ下の「各学年の期末試験」へ。
作曲理論レッスン
少人数(2〜3名)によるグループ&個人レッスンです。古典派〜フランス近代の和声法と、フーガの作曲を通じた対位法を平行して学び、作曲の基礎となる書法をマスターします。作曲理論コースを追加履修すれば、「様々な時代様式による作曲」まで幅広く学べます。
追加コース
このページのもう少し下に、4年間の充実したカリキュラムが垣間見える「主な科目の紹介」を用意しましたが、まず「コース」について紹介します。
コースとは「トッピング」です。すでに分厚い通常のカリキュラムですが、それへ追加する「科目セット」として、より専門性の高い「現代音楽創作コース/作曲理論コース/実用音楽コース」の3つが3年次から用意されています。ほとんどの学生がいずれかを追加履修し、さらに深い学びと実践の道を歩みます。
現代音楽創作コース
現代音楽の作曲家や演奏家を毎週ゲストにお迎えし、ソロ作品の試演なども行う「ワークショップ」や、最先端の創作について研究しディスカッションを重ねるゼミなどを通じて、真に個性的で新しい創作を磨き上げていきます。
作曲理論コース
様々な作曲家の「語法」を体得していきます。“スタイル和声”や“スタイル作曲”を通じ、過去の偉大な作曲家へ肉薄していきます。著名な理論家島岡譲先生から続く「伝統」を守りつつ、様々な音楽シーンに必要な「書く力」を着実に高めます。
実用音楽コース
劇伴音楽やミュージカルなど、商業的な音楽に特化した科目がセットになっています。1〜2年次に身に付けた基礎的な知識をはるかに超えるマニアックな内容で、常に進化を続ける「今」の音楽とともに歩みます。
主な科目
上記で、先に「追加コース」について説明しました。以下は、コースを追加しなくても履修できる通常の科目群です。「履修できる」と述べましたが、ほとんどが「必修科目」で、否応なしに学ばされます。ここに紹介しきれていない科目も(例えば厳格対位法、雅楽実習など)たくさん。くにたちの考える「これとこれを食べると大きくなれるぞ!」といった、栄養満点&選りすぐりのメニューが待っています。
創作系ピアノ
近現代のレパートリーを中心としたピアノ個人レッスン。担当は井上郷子先生です。写真は、皆を集めての「プリペアドピアノ」レクチャー風景。
作曲基礎講義
1年次の必修科目。アコースティックな楽器群の「楽器法」について、そしてコンピュータによるDTMと浄書について、基礎から学びます。
吹奏楽法
吹奏楽作品の作曲や編曲を通じ、その作法を学びます。もちろん音出しアリ。担当はNHK-FM「吹奏楽のひびき」でも有名な中橋愛生先生!
管弦楽法
「弦楽合奏」にはじまり「木管」「金管」と、編曲した実作を試演していき、最後は「室内管弦楽」の編曲を試演する、実践型の授業です。
合唱曲創作実習
一人一人が自分で選んだ詩を合唱曲に。担当は、合唱界へ数々の名曲を送り出している上田真樹先生。発表コンサートは観客多数!
スコアリーディング
小さい編成から始め、オーケストラスコアを初見で読むレベルまで。楽譜から学び楽譜を書き上げる「専門家」として必須の力を、訓練します。
編曲法
様々なスタイルの楽曲、様々なジャンル、様々な楽器編成を扱い「編曲」を学びます。プロとしての訓練でもあります。1年間では終わりません。
現代音楽演奏実習
20世紀以降の様々な楽曲に、作曲専修・コンピュータ音楽専修の学生がグループで取り組みます。毎年秋の現代音楽コンサートが本番!
録音実習
音楽がメディアを通じた「録音物」として届くことの多い現在。録音について基礎から学び、メディア作品はもとより様々な自作品へ活かします。
DAW演習
今の作曲家にとって必須の道具と言えるコンピュータ。商業音楽にとどまらず確実に必要となる音楽ソフト群についてきちんと学びます。
アナリーゼ
2年間の必修授業を通じて中世から現代まで時代を追って、様々な作曲家の作品を分析していくことで、自身の創作へ活かしていきます。
商業音楽概論
大河ドラマや数多くの映画音楽を手掛けている富貴晴美先生の担当科目。最前線で活躍する作曲家から多くを学べる人気科目です。
ソルフェージュ
聴く力、読む力、表現する力を磨き、バランスよく基礎力を高めます。2年間は必修。その後は特徴の異なる6種類の授業から選択し、4年間継続できます。大学院作曲専攻ソルフェージュコースは、作曲、演奏、教育、研究全てをカバーする充実したカリキュラムです。
外国語
英語はもちろん、ドイツ語/フランス語/イタリア語を学べます。はじめの2年間は「週2コマ」が必修、その後2年間は選択科目が用意されています。選択科目としてはラテン語や中国語も。ちなみにラテン語は、カトリックのミサ曲などに登場しますし、こと音大においては単なる「教養」にはとどまりません。「実用的」です。
教養科目
「リベラルアーツ」が注目される中、様々な学びが用意されています。少し紹介しますと、「メディア・アートの世界」「現代芸術の世界」「音楽の仕事」「楽器の科学」「文化芸術と法律」「お金とくらし」「仕事と人生」「宗教と芸術」・・・。まだまだあります。
共通選択科目
作曲専修の科目も紹介しきれていませんが、それに加え全ての学科専修に共通する科目として、様々な「音楽系」の科目が用意されています。音楽民族学、マネジメント、音楽史、ポピュラー音楽研究、ジャズ入門、指揮法、楽器・音響講義などなど。4年間の「学びのメニュー」を作るのは自分自身。履修計画を考える際には教員と先輩が積極的にサポートします。
公開講座
久石譲招聘教授、細川俊夫招聘教授による講座をはじめとして、国際的な現代音楽の作曲家や、日本を代表する実用音楽の作曲家など、毎年様々なゲストをお招きして年間5〜6回の公開講座を実施しています。
中でも細川俊夫招聘教授は毎年3日間、レギュラーで担当している他、近年の主なゲストを挙げれば、アンサンブル・アンテルコンタンポラン(2021年予定)、一柳慧(2020年)、フィリップ・マヌリ(2019年)、大島ミチル(2018年)、タンブッコ・パーカッション・アンサンブル(2017年)、ブリュノ・マントヴァーニ(2016年)、冨田勲(2015年)、ペーテル・エトヴェシュ(2014年)・・・と、各界を代表する作曲家や団体をお招きしてきました。
各学年の期末試験
1年次〜2年次
楽譜上に演奏家同士のコミュニケーションを描きます
1年次は「ピアノとの二重奏」、2年次は「3〜7名までのアンサンブル」が規定です。二重奏は「ピアノとフルート」「ピアノとチェロ」などさまざま。2年次のアンサンブルでは「弦楽四重奏」や「ピアノと金管四重奏」「木管五重奏」など、これまたさまざま。
写真は2年次の演奏審査の様子。左端にはヴォーカルの姿も見えます。見ているだけで「どんな響きがするのだろう」「劇伴ならどんなシーンに合うだろう?」と、楽しくなります。
3年次〜4年次
卒業作品を書き上げること。その目標へ向けての歩み
3年次の提出規定は「4〜15名までのアンサンブル」。演奏審査では、板倉康明先生による器楽ソルフェージュのクラスが演奏を担当、先生の指導のもと完成度の高い実演がなされます。
そして4年次の規定は「編成自由」。多くの学生がオーケストラを選択し、過去には「ハープ2本の三管編成」という巨大オーケストラによる作品を書き上げた学生も存在。演奏はくにたちの「Aオケ」。これだけのオーケストラに自身の作品が演奏されることは、卒業後を含めそうは得られない貴重な経験ですし、収録された音源は卒業後の「名刺がわり」として強力な武器となります。
写真は3年次提出作品の演奏の様子。ハープx2打楽器x2を含む15名。どんな響きがしたのでしょうか。
卒業演奏会と作曲作品展
毎年・秋〜冬
卒業作品の内の優秀作品が「卒業演奏会」にて、2〜3年生の優秀作品が「作曲作品展」で再び演奏されます。観客も入る公のコンサート。晴れの舞台です。
写真は、卒業作品リハーサル中の一コマ。作曲した学生が、フルオーケストラをバックに、指揮者とオーケストラの先生たち(弦管打楽器)から作品について突っ込まれている様子。当代きってのプロの指揮者&演奏家からの指導ですから受ける方も真剣です。卒業間際の、最後の最後まで学びは続きます。
プチ留学!
交換留学制度
くにたち音大は海外12の大学と交換留学協定を結んでおり、1年間の留学先大学の学費が、なんと「無料」です。(…興奮してしまうところですが、実は対象がほぼ大学院生に限られます。また、学内審査をパスする必要があります。)
作曲専修でも大学院へ進んだ学生がすでに何人もこの制度を利用しています。作曲専修学生がこれまでに留学した協定校は、カールスルーエ音楽大学、カリフォルニア芸術大学、国立台湾師範大学など。逆に留学生を受け入れたことがあるのは、カールスルーエ音楽大学、カリフォルニア芸術大学、チュラロンコーン大学、マヒドン大学など。毎年のように交換留学を実施し、国際的な学びの場となっています。
詳しくは、大学公式Web「交換留学制度」を参照ください。(←2017年までの情報しかありませんが、現在も毎年利用されています。。。が、新型コロナウイルスの影響下にはあります。)
国内外研修奨学金
こちらは学部生も利用できる制度です。主に夏休みを利用し国内外の「音楽祭」「講習会」などへ参加する際、その経費が援助されます。学内審査などのハードルは「交換留学」より低めですが、こちらはこちらで人気が高いため、審査の結果「受給」を獲得するのは上級生に偏りがち。
将来、協定留学や、本格的な留学を検討する場合、それ以前に様々な国の講習会へ参加しておくと、その国の様子がわかります。今は海外へは行きにくい状況ですが、国内のものにも適用されますので、是非利用してみて下さい。
詳しくは、大学公式Web「国内外研修」を参照ください。(←2018年までの情報しかありませんが、現在も毎年利用されています。。。が、新型コロナウイルスの影響下にはあります。)